医学部留学とは
当然といえば当然なのですが、大学の医学部が存在するのは日本国内だけではありません。海外にも大学はあり、そこには医学部も存在しているのです。
このような海外の大学の医学部へと留学することを「医学部留学」と表現します。
そのままではありますが、医学の世界で名を馳せたい、医療で世界を変えたいと本気で考えるのであれば、医学部留学も検討する価値が出てくるでしょう。
日本人が思っているほど、世界は狭くはありません。ましてや医療の世界は、とてつもないスピードで進化・発展しています。
日本は医療大国ではありますが、世界にはさらに進んだ研究の実施や医療技術の提供を促進している国々がたくさんあるのです。
そうした国の大学医学部で勉学に励めば、日本の大学の医学部では得られない知識や技術、価値観等を得ることができるでしょう。
より広い視野を持つためにも、医学部留学の選択肢の一つに入れてみてはどうでしょうか。
医学部留学のメリット
医学部留学には、留学先の言語や文化を学ぶことができ、最新医療技術の習得を目指せるなど、数々のメリットがあります。
他にも、医学部留学する際に感じるメリットがいくつかあるので紹介しましょう。日本の大学医学部入学を目指すよりも魅力的に感じるかもしれません。
日本より受験しやすい
海外の大学医学部へ留学すると聞くと、非常に難度が高いはずと考える人が多いのではないでしょうか。
しかし、受験のしやすさや合格のしやすさという点のみで見れば、むしろ海外の大学の方がハードルが低いケースが多いのです。
入学試験の科目数も、日本の大学医学部よりも少ないところが多く、入学のために必要な基準も決して高くはありません。
その理由はとても単純で、できるだけ多くの生徒を受け入れ、一人前の医師に育てようという意識が日本よりも圧倒的に強いためです。
日本の大学は入学が難しく卒業が簡単であると揶揄されることがあります。一方、海外の大学は入学が易しく卒業が難しいところが多くなっています。
立派な医師になれるかどうかは大学入学後の頑張り次第。
その前の段階である入学のハードルは低く設定し、意欲ある若者の排除をできるだけ避けようという考え方で入学条件を設けているのが諸外国の特徴です。
その国の語学スキルはある程度必要にはなりますが、それさえ身につけてしまえば、むしろ日本の大学よりも簡単に医学部への入学を果たすことができるでしょう。
学費が安くなる場合あり
日本の私立大学は、学費が非常に高く設定されています。医学部となれば通う期間も6年となり、トータルの授業料は3,000万円を超えるケースも少なくありません。
一方、海外の大学では、この半分以下の学費で6年間学べる医学部や国もあります。学費を抑えながら医療の知識や技術が身につけられると考えれば、それだけでも大きなメリットが感じられるでしょう。
海外で生活するわけですから、学費の他に生活費も必要です。それを含めたとしても、日本の私立大学の授業料を下回るケースが多々あります。
物価の安い国であれば、医学部留学にかかる全ての費用が、日本の医学部の授業料の半分程度で済むこともあるのです。
さすがに日本の国公立大学へと通うほど安く済む国は少ないものの、私立大学と比べれば学費が安くなるケースが多くなるでしょう。
そうした事情も考慮しながら医学部留学を検討してみてはどうでしょうか。
おすすめの国
医学部留学と一言で言っても、国により事情が異なります。主要な国を取り上げ、留学事情などを説明していきましょう。
アメリカ
留学と聞いて真っ先にアメリカを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。医療大国でもあり、最も先進的な医療技術の研究や開発を行っている国でもあります。
アメリカの大学への医学部留学は非常に華がありますが、決して簡単ではありません。
アメリカの場合、医師がその資格を取得するためには、日本での大学院のような場所に通い勉学や研究、実習等に励む必要があります。いわゆるメディカルスクールと呼ばれる場所です。
このメディカルスクールへの入学を果たすには、アメリカの大学を卒業していなければいけません。
日本から留学する場合には、日本国内の大学を卒業し、その上でアメリカの大学に2年以上籍を置いた上で必須の単位を獲得しておく必要があります。
その他にもボランティアへの参加など受験するために必要な条件が複数あるため、メディカルスクールへの入学は想像以上にハードルが高いと思っておくべきでしょう。
その条件が満たせるのであれば、最新医療を学ぶことができるアメリカへの医学部留学はおすすめです。その後の医師としての活躍も約束されたものとなるはずです。
ドイツ
ドイツも世界を代表する医療大国の一つです。
ドイツの特徴は、大学ごとに試験などを実施していない点でしょう。センター試験にあたる国全体で行う統一試験のようなものも実施されていません。
ドイツの場合には日本の中学や高校にあたる学校の成績や卒業試験での得点が重視されます。
日本人が留学する際にも書類審査によって入学の合否が決まり、成績に関しては高校やセンター試験の点数などが重視される傾向があります。
ただ、成績や点数が基準に満たなかったとしても、適性能力を見極めるための審査にパスすることができれば、大学の医学部へと通うことが可能となります。
ドイツへの医学部留学の最大の魅力は、授業料がかからない点でしょう。かかったとしても年間数十万円程度のため、ほぼ無料で医師になるための知識や技術を磨くことができるのです。
ただし、外国人に対しては各大学であらかじめ枠(人数)が決められているので、他の留学者との競争を勝ち抜かなければなりません。ここが超えるべき最も大きな壁となるでしょう。
オーストラリア
日本人にとって、人気の留学先となっているオーストラリア。医師を目指す人にとっても、人気の国の一つとなっているようです。
しかし、オーストラリアの医学部留学を果たすには、いくつかのハードルを越える必要が出てくるでしょう。
まずは「ファンデーション・プログラム」です。
これはオーストラリア国外の学校を経て国内の大学への入学を目指す人、つまり留学生のために設けられているプログラムです。
医系科目を学び、同時に英語の習得なども行えるプログラムで、一定の基準を満たすことで大学医学部入学に必要な要件の一部を満たすことができます。
これに加えて、多くの大学では「UMAT」と呼ばれる医学部で学ぶための適性試験でも一定以上の点数を獲得しておくことが必須条件となっています。
大学によって条件は異なるものの、これらをクリアしなければオーストラリアへの医学部留学は難しいでしょう。
授業料に関しては、日本の私立大学の医学部とほぼ同額程度かかります。
こちらも超えなければならないハードルとはなりますが、英語が学べ、アメリカと比べると留学しやすい点を考慮すれば、おすすめの国の一つとなりそうです。
まとめ
・国や大学によっては日本よりも受験のハードルが低く合格しやすいというメリットがあります
・学費の高い日本の私立大学と比べると、より安い費用で学べる国や大学も少なくありません
・入学までのハードルはとても高いものの、英語や最先端医療が学べる点はアメリカへの医学部留学のメリットでしょう
・ドイツは授業料無料で医学部で学ぶことができ、入学へのハードルが低い点が魅力です
・オーストラリアは試験等で一定の基準を満たせば医学部留学を果たすことができます